【 プロ作家の文章表現力 】

江國香織の短編小説「ピクニック」の冒頭部分を読んで、
プロの作家の文章作成力の凄さに関心させられている。

実際の内容はこう始まっている。

土の匂いが濃い。みずみずしい緑色の芝生も、まだ誰も
踏まれたことのない
物特有の、 怖いもの知らずとがり方
日々丈をのばしている。世界に挑戦するみたいに。 
僕は手を伸ばし、その芝生に触れてみる。
固いのに、やわらかい。官能的な手ざわりがする。 
こんなに晴れて、春というにはまだ肌寒い、空気の乾いた真昼
だというのに、それは湿っている手のひらを動かし、
草の先端にくさぐらせる
子供のころ、床に置いたそろばんを軽く踏んで、足裏で珠を
転がしてみたときのように。・・・・・・・・・・・・」

・芝生のイメージの的確さ、ユニークさ、感受性。
・作者&登場人物の人柄、感性